【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 二人のやりとりが落ち着いたところで、アンヌッカは自己紹介を始めた。
「わたしがカタリーナ・ホランです。どうか、カタリーナと呼んでください。メリネ魔法研究所から派遣されています。期間は約半年の予定ですが、今、解読している魔導書が終わったらそこで契約満了となります」
「よろしく、カタリーナ。私もシンディと呼んで。本当に、この軍の掃きだめみたいな部に来てくれて、感謝します」
 シンディがカタリーナの手を両手でぎゅっと握りしめた。
「掃きだめ……? 感謝……?」
「ヘロンさん! カタリーナさんに変なことを言わないように!」
「ここでは邪魔が入るわね。お昼休みに一緒に食事でもしながら、ゆっくりお話しましょう」
 シンディは握っていた手をぶんぶんと振ってから解放してくれた後、部屋の入り口にある席に座る。どうやら、あそこがシンディの席のようだ。そういわれれば、昨日はあそこに誰もいなかった。
 とにかく、今日は二日目。この部門ではカタリーナは歓迎されているようだ。その事実だけでも、心の重荷は軽くなる。
(今日も、楽しみだわ)
 古代文字を読み解くのは、アンヌッカにとっては娯楽の一部のような感覚になっている。とにかく、楽しいのだ。
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