【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 シンディはぐいぐいと攻めるタイプの女性のようだ。きっとこの攻めの姿勢で、イノンに交際を迫ったのだろうと、勝手に解釈する。
「じゃ、リーナが夢中になりすぎて周りが見えないようなときは、私が声をかけるわ。私がいないときは、イノンに頼んでおく」
 研究室内ではディオケル大尉と呼んでいたイノンを、外に出ればこうやって名前を呼ぶ関係。その関係が、なぜだかうらやましく思えた。
「そういえば、リーナって付き合っている人はいるの?」
「え?」
 ごふっと食べていたパンを喉につまらせるところだった。
「だって、私のことは聞いたのでしょう?」
「そ、そうですけど?」
「だったら、リーナのことも教えてもらわないと不公平じゃない?」
 にたりと笑ったシンディからは、逃れる気がしない。
「え、と……け……」
「け?」
「結婚を考えている人がいます」
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