【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
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 カタリーナ・ホランが、ゾフレ地区の禁帯本の一つである魔導書の解読を終えた。五百ページにも及ぶその魔導書は、古代文字で書かれているため、魔導士や魔法研究部門の彼らだけでは読み解くことができなかった。必要なのは、古代文字に精通している者。
 それがメリネ魔法研究所のカタリーナ・ホランだった。
「これは、さすがとしか言いようがないね」
 円卓を囲むのは軍服に身をつつむ男たちだ。肩章やら勲章から判断するに、幹部らだと判断できる。また、そのほかにはローブを羽織っている男たちがちらほらと座っていた。
「えぇ。やはりメリネ魔法研究所は驚異ですね」
 いつもヘラヘラとしているユースタスですら、笑みを封印してそう言った。
「しかも、この量を半年とかからず解読したわけか……」
 そう言った壮年の男は、隣に座る魔導士の男に顔を向けた。魔導士の彼も、難しい顔をして、並べられた資料を鋭く見ている。
「軍に欲しいね」
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