【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 閉じられた扉を見て、ライオネルは肩を上下させて息を吐いた。
 カタリーナ・ホラン。不思議な女性だ。いや、人間である。
 そもそも軍に所属する彼らは、必要以上にライオネルに絡もうとはしない。それは魔法研究部門の部門長であるイノンも然り。
 あの魔法研究部門は、軍の通常任務は務まらないだろうと体力的に問題のある者たちを寄せ集めた部門でもある。辞めさせるには惜しい者たちばかりを集めたため、頭の回転はそれなりに早い。
 しかし彼らにだって得手不得手というものがあり、特に古代文字については得意とする者が少ない。資料などを与えれば人並みに解読はできるといった感じで、その量が増えれば増えるほど彼らの負担も増える。仕事と割り切っている彼らだからこそ、効率を重視するし、優先度の高い重要な案件から取り組んでいく。それは正しい仕事のやり方だ。
 だが、そうしていくうちに壁にぶち当たった。
 あるものを利用することはできる彼らだが、その分野での新規開拓ができない。ゾフレ地区の魔導書は、今まで彼らが見てきた古代文字と異なるというのが彼らの見解であり、魔導士らも口を揃えてそう言った。
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