【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「マーレ少将にもお世話になりました。いつも日誌を見ていただき感謝申し上げます」
 直接、指示やら指導を受けたわけではない。
 だけど、ライオネルが日誌を見て、たまに一言書いてくれるのが、どこか楽しみだった。
「部下の仕事内容を把握しておくのも俺の仕事だ」
「わたしの日誌は、イノンさんに預けてあります。あれも機密情報として扱われるとお聞きしましたので」
 なぜかライオネルのこめかみがひくっと動いた。
「カタリーナ・ホラン」
 ライオネルは同じ姿勢のまま、カタリーナの名を口にする。何を言われるのかと、アンヌッカも身を固くする。
「このまま軍に残らないか?」
 しんとした空気が、室内に流れる。突然のことにアンヌッカも目を白黒させた。
「はい?」
「おまえが欲しい」
 直球な言い方にアンヌッカの心臓はドクンと大きく震える。
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