【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「冗談だ。つまり、マーレ少将は、アンが軍に入隊すれば給料をメリネ魔法研究所の二倍にすると言ったんだな?」
「そうですね」
 マーカスとアンヌッカのやりとりを聞いていたアリスタは、腕を組んでうぅむと唸っている。
「よっぽどアンを手放したくないのだろうな」
 アリスタのぼやきに「そうですよ」とマーカスも便乗する。
「アンヌッカは、このメリネ魔法研究所において誰よりも古代文字の解読に長けていますからね。もしかしたら軍は、アンのこの能力を他国に利用されることを恐れているのでは?」
「お兄様の言うとおりです。わたしの古代文字に対する知識が漏れ出たら、それを応用した魔法なり魔法具なりを展開するだろうと言われました」
「なるほどな。だがそれは、僕も父さんも以前から考えていたことだ」
「そうなんですか?」
 父や兄がアンヌッカの古代語に対する思いを、そのように考えていたとは知らなかった。
「まぁ、とにかく、軍はアンを他国に取られないようにと、無期契約の提案をしてきたわけか……これ、下手すれば、カタリーナが軍の誰かに嫁ぐことになるんじゃないのか? って、冗談だけどな」
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