【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
イノンは呆れたように笑っている。
「ここの書庫には軍が所有する魔導書のすべてが保管されている。魔法研究部の人間であれば、誰でも自由に閲覧できるし、持ち出しは入り口にあった受付で手続きをすればいいから。それから、こっちがまだ未解読の魔導書なんだ」
ずらっと乱雑に並べてある書棚は、分類すら終わっていないのだろう。
「まずはカタリーナさんにはここの未分類の魔導書を仕分けしてほしい。私たちでは、表紙の文字を読むだけでも手一杯でね」
「これは……時代も場所もさまざまですね」
「そうなんだよ。私たちだってある程度の古代文字は読めるようになったけれど、さすがにこう、種類が豊富だとね。どの資料をどう使ったらいいかもわからなくてね。どう? できそう?」
イノンが不安そうに眉間にしわを寄せて確認してくる。
「はい。まかせてください。わたしにとっては夢のような場所ですから」
その言葉に偽りはない。
見たことのない魔導書。読んだことのない古代文字。
これらはアンヌッカにとっては、願ってもないものばかり。メリネ魔法研究所では絶対にお目にかかれないようなもの。
これだけで、契約を無期に変更してよかったのかもしれないと、現金なアンヌッカは思うのだった。
「ここの書庫には軍が所有する魔導書のすべてが保管されている。魔法研究部の人間であれば、誰でも自由に閲覧できるし、持ち出しは入り口にあった受付で手続きをすればいいから。それから、こっちがまだ未解読の魔導書なんだ」
ずらっと乱雑に並べてある書棚は、分類すら終わっていないのだろう。
「まずはカタリーナさんにはここの未分類の魔導書を仕分けしてほしい。私たちでは、表紙の文字を読むだけでも手一杯でね」
「これは……時代も場所もさまざまですね」
「そうなんだよ。私たちだってある程度の古代文字は読めるようになったけれど、さすがにこう、種類が豊富だとね。どの資料をどう使ったらいいかもわからなくてね。どう? できそう?」
イノンが不安そうに眉間にしわを寄せて確認してくる。
「はい。まかせてください。わたしにとっては夢のような場所ですから」
その言葉に偽りはない。
見たことのない魔導書。読んだことのない古代文字。
これらはアンヌッカにとっては、願ってもないものばかり。メリネ魔法研究所では絶対にお目にかかれないようなもの。
これだけで、契約を無期に変更してよかったのかもしれないと、現金なアンヌッカは思うのだった。