【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「かまわない」
上着のポケットから白の絹手袋を取り出したアンヌッカは、ライオネルより魔導書を預かった。それを手にして立ち上がり、相変わらず書類だらけのライオネルの机の上の空きスペースに魔導書を広げる。
装丁もぶ厚く、しっかりとしている。装飾はなく、ただタイトルだけが金色の文字で書かれているのだが、それだってところどころかすれているし、アンヌッカがタイトルを読めたのも、一度読んだことのある文字で、見えないところを補間したからだ。
ゆっくりと魔導書を開く。紙の端はすでに変色しており、保管環境がよくなかったこと、年代ものであることなどが推測される。
カサリカサリとかさついたページをめくるたびに、どこかカビたようなにおいもまとわりつく。
「やはり、料理の本のように見えますね」
装丁は立派なものであるが、全体のページ数は少ない。二十ページほどだろうか。まるで子どもの絵本のような感じだ。
だが、この魔導書に絵は描いていない。
「魔法と料理って似ているところがあるんですよね。素材を合わせて新しい料理ができあがるわけですよね。魔法も似たようなもので、基本的な術式を掛け合わせて展開することで、さまざまな魔法が発動するわけで」
そう言って振り返るとすぐに、ライオネルの顔があった。どうやら、アンヌッカの肩越しに魔導書を見ていたようだ。そういった気配を感じなかったから、すぐ側に彼がいるとも思ってもいなかった。
上着のポケットから白の絹手袋を取り出したアンヌッカは、ライオネルより魔導書を預かった。それを手にして立ち上がり、相変わらず書類だらけのライオネルの机の上の空きスペースに魔導書を広げる。
装丁もぶ厚く、しっかりとしている。装飾はなく、ただタイトルだけが金色の文字で書かれているのだが、それだってところどころかすれているし、アンヌッカがタイトルを読めたのも、一度読んだことのある文字で、見えないところを補間したからだ。
ゆっくりと魔導書を開く。紙の端はすでに変色しており、保管環境がよくなかったこと、年代ものであることなどが推測される。
カサリカサリとかさついたページをめくるたびに、どこかカビたようなにおいもまとわりつく。
「やはり、料理の本のように見えますね」
装丁は立派なものであるが、全体のページ数は少ない。二十ページほどだろうか。まるで子どもの絵本のような感じだ。
だが、この魔導書に絵は描いていない。
「魔法と料理って似ているところがあるんですよね。素材を合わせて新しい料理ができあがるわけですよね。魔法も似たようなもので、基本的な術式を掛け合わせて展開することで、さまざまな魔法が発動するわけで」
そう言って振り返るとすぐに、ライオネルの顔があった。どうやら、アンヌッカの肩越しに魔導書を見ていたようだ。そういった気配を感じなかったから、すぐ側に彼がいるとも思ってもいなかった。