【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 それすら楽しんでいるユースタスはさすがとしか言いようがない。
 ただ定期に礼拝堂に祈りを捧げたことで、山のような縁談がやってきたのであれば、祈った甲斐があったというもの。
 それでもたった一人の運命の女性と会えますようにと、そういった願いを込めてユースタスは礼拝堂へ通っていると、周囲の者は思っている。
 そんなユースタスの護衛についているのが彼と乳兄弟でもあったライオネル・マーレ少将である。ユースタスが結婚に興味を持ったのも、彼が先に結婚したからという話も広まっているため、この二人が礼拝堂に行っても、誰も何も疑っていない。
「まさか、ここまでうまくいくとはな」
 ユースタスが礼拝堂へ向かうのは、太陽が大きく西に傾き、空が橙色から紫色に変わっていくような夕方。定刻の鐘が鳴り、王城やら軍本部で勤めている者が、帰路につく時間帯だ。
「周囲の期待に答えて、おまえも結婚するしかないな」
「ま。焦って結婚したところで、その結婚生活がうまくいかないというのも問題だからね。だから私は、じっくりと相手を選ばせてもらうつもりだよ」
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