【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 それに引き換え、軍は国に忠誠を尽くす。そのトップが誰であろうと国を守る存在だ。ただライオネルの場合は、異例の出世によって、いらぬところに敵を作っているが、その敵はユースタスの敵に比べれば雑魚のようなもの。
「何を? おそらくおまえと同じことだな」
「つまり、あの部屋を使えそうな人物ってことで合っているかな?」
 そうだな、とライオネルは首肯する。
「てことは、あの人か。面倒だな」
 ユースタスがそう言うのも無理はない。その心当たりのある人物は、やはり王族関係者だからだ。確実に魔法が使える一族。
「最近、あの人もおとなしいとは思っていたんだよね。てっきりメリネ魔法研究所が力をつけてきたから、悔しくて研究所にこもっているものだと思っていたのだけれど」
「逆に研究所にこもって、おまえを亡き者にするための魔法具でも作っていたんじゃないのか?」
「それをやりそうな人物だから、怖いんだよね。正攻法で捕まえないといけないでしょ。あの手の人間は」
 それはライオネルも考えていたことだ。心当たりのある相手が悪すぎる。だが、ここでなんとかしなければ、命を狙われるのはユースタスだけではない。
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