【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 そうこうしているうちに、プリシラの主導で結婚式の準備は進んでいく。一度経験したというのもあり、手際がよかった。
 結婚に対して啖呵を切ったアンヌッカだというのに、結婚の準備に関しては疎かったのだ。ドレスはどういったものがいいのか、首飾りはどうしたものかと、あれやこれ。
 また、当日は挙式のみで、披露パーティーなどは後日開催するとも連絡があった。
 だというのに、結婚式までの準備期間中も、肝心のライオネルと顔を合わせることはなかった。
 アリスタが何度か顔合わせの打診の手紙を送っても「忙しい」の返事しかこない。そうなれば、またマーカスが怒り出すという悪循環。
「このままでは、結婚式当日まで顔を合わせることはなさそうだな」
 そう、冗談めかして口にしていたマーカスだが、まさかそれが、結婚式当日にすらライオネルに会えない結果になるとは、誰も思っていなかった。
 結婚披露パーティーだけは後日に行うとのことで、まだ、計画すら立てていない。だけど、今となってはそれでよかったのではと思っている。

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