【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「はい。なんでしょう?」
 その答えを聞いたサリーは、アンヌッカの隣の椅子に背もたれを抱きかかえるようにして座った。けして行儀のよい座り方ではないものの、それを指摘するつもりもない。
 サリーがこういったくだけた仕草を見せるのは、それだけアンヌッカに心を許している証拠でもある。
「新婚生活って、どうですか?」
「えぇ?」
 まさかサリーからそのような質問をされるとは思ってもいなかった。お茶を飲んでいなくてよかったと思う。もし飲んでいたら、絶対に口から噴き出していたところだろう。それだけ、サリーの言葉は衝撃的だった。
「どうってどういう意味でしょう?」
「ほら。結婚って憧れがあるようで、ないような? だから、実際に結婚した人の話を聞いて、よさそうだったら結婚してもいいかなぁなんて」
「もしかして、サリーさんにもそういったおめでたい話が?」
 その言葉に、サリーの頬にぽっと朱が走る。
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