【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 これだって効果が認められれば、自然災害による被害を事前に防止できるものだと、サリーは言っていた。アリスタもマーカスもサリーの研究には一目置いている。
(わたしも、負けてはいられないわね)
 結婚したからといって、何も大好きな古代魔法の研究を遠慮する必要はない。なによりも彼は好きに過ごせと連絡してきた。ただし、マーレ家の名を汚さない程度に。
 社交の場で男を漁ったり、手当たり次第ドレスを仕立てたり、そういうことをすればすぐに悪名は広がるだろう。だが、アンヌッカにとってはどちらもまったく興味がない。
 異性にちやほやされたいわけでも、自身を着飾らせたいわけでもない。
 そんな時間があるなら、まだ読み解いたことのない古代文字で書かれている魔導書と格闘したほうが有意義な時間だ。
 だから彼には、父親の研究所の手伝いをするとだけ、報告してある。

< 55 / 237 >

この作品をシェア

pagetop