【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 兄を呼ぶというくらいだから、よっぽどのことなのだろう。
 アンヌッカはすぐにマーカスを呼んできた。
 マーカスからも何事だという不安な様子が伝わってくる。
「これを見てくれ。軍からの依頼だ」
「軍? 国立研究所ではなく?」
 マーカスがそう聞き返すのも無理はない。いつも、依頼があるのは国立魔法研究所から。軍の魔獣討伐に同行するとしても、依頼先は研究所からなのだ。
 だから軍から直接依頼が来たことなど、今まで一度もない。
「いったい、どういった依頼なのですか?」
「魔導書、つまり古代文字の解読」
 いたって普通の依頼で、アンヌッカの気が抜ける。
「それはいつものことではないですか。依頼先が研究所から軍に変わった、それだけだと思えばいいのでは?」
 マーカスの言葉に、アンヌッカも同意する。
 依頼先がどこであれ、やることに変わりはない。
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