【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「わかりました」
アンヌッカは自席にどさりと荷物を置いた。重そうな鞄の中に入っているのは、アンヌッカが古代文字解読のための必須アイテムなものばかり。辞書を始めとし、自身が書いた記録簿。それから魔法史の教科書やこの国と園周辺諸国の地形図。
すぐにイノンと一緒に研究室を出て、回廊の奥へと向かう。
その突き当たりにある重厚な扉の前でイノンが立ち止まる。
――コツコツコツコツ。
ゆっくりと叩き鐘を打ち付け、返事を待つ。
『入れ』
「イノン・ディオケル大尉です。本日より、王国軍魔法研究部の一員として働くカタリーナ・ホランさんをお連れしました。」
そう言ってから、イノンが扉を開けた。
とにかく、相手がイノンよりも偉い人だというのはわかった。だからここにいる人物は各部門をとりまとめている者なのだ。
「女か……」
アンヌッカの姿を一目見て、部屋の主である濡れ場色の髪の男はそう呟く。
「はい。こちらが古代文字を専門とする、カタリーナ・ホランさんです」
アンヌッカは自席にどさりと荷物を置いた。重そうな鞄の中に入っているのは、アンヌッカが古代文字解読のための必須アイテムなものばかり。辞書を始めとし、自身が書いた記録簿。それから魔法史の教科書やこの国と園周辺諸国の地形図。
すぐにイノンと一緒に研究室を出て、回廊の奥へと向かう。
その突き当たりにある重厚な扉の前でイノンが立ち止まる。
――コツコツコツコツ。
ゆっくりと叩き鐘を打ち付け、返事を待つ。
『入れ』
「イノン・ディオケル大尉です。本日より、王国軍魔法研究部の一員として働くカタリーナ・ホランさんをお連れしました。」
そう言ってから、イノンが扉を開けた。
とにかく、相手がイノンよりも偉い人だというのはわかった。だからここにいる人物は各部門をとりまとめている者なのだ。
「女か……」
アンヌッカの姿を一目見て、部屋の主である濡れ場色の髪の男はそう呟く。
「はい。こちらが古代文字を専門とする、カタリーナ・ホランさんです」