魔法学園の片隅で、先生に玉砕覚悟で告白したらプロポーズされました

5.その先の未来

 結婚式が終わった後の別室で、取っておいてもらったケーキを一緒に食べ合う。
 式の最中は、食べる時間がないからだ。

「はい先生、あーん」
「お前は……」

 苦笑する先生の口に、生クリームのついた苺をほおりこんだ。

「……本当によかったのか、俺で」

 苺が口の中からなくなってから、先生が探るように聞いてきた。
 整えられた髪のせいでいつもよりはっきりと見える先生の鋭い瞳に、ドキリとする。
 
「先生がいいの! 式まで挙げて何言ってるのよ」
「それに……いつまで先生って呼ぶんだ」
「――う」
「そろそろ名前で呼べよ?」
「ウ……ウィル……?」
「なんで疑問形なんだよ」

 たまに愛称でウィルと呼ばされているけど……慣れなくてちょっと恥ずかしい。

「先生なんて呼ばれていたら、いつまで経っても気ぃ張ってなきゃならんだろ」
「……張ってるの?」
「ああ。本当は生きて帰ってきてこんなに可愛い女の子と結婚できるなんて、人生最高だと叫んで思い切り甘えたい」
「え……いきなりキャラが崩壊した気がする。どうしたの」
「これからは、ずっと一緒だからな。もっと俺を、知ってもらわないとな」
「実は……色々隠しているの?」
「そうだ。本当はあの時だって好きだった。可愛くて可愛くて、抱きしめたかった」

 そう言って、今度は彼が苺を手に取りちゅっとキスをすると、私の口の中に入れた。

「やっと言える。生きているから何度だって言える。愛しているよ、一緒に幸せになろう」

 分かりにくかった、プロポーズ。
 今はこんなにも――……。

「末永く、よろしくお願いします!」

 先生が守ってくれたこの国で、私たちは顔を見合わせて笑った。


【完】
< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
前世で陰キャだった俺。 目覚めたらそこはギャルゲーの世界――しかもお調子者でおバカキャラの王子だ。主人公の親友ポジとはいえ、これはもう転生デビューするっきゃないだろ! と、思いきや。 「残念だったな、お前はこのまま俺と結婚するはめになるんだ」  「あんたこそ残念だったわね。誰にも相手にされなくて!」 悪役令嬢の異名を持つラビッツ・ロマンシカまで転生者だとは思わなかった。学園パトロール隊として、そして婚約者として共に過ごすうちに距離は縮まっていき──。 「俺はっ……その、お前がいいんだ」 「調子いいことばっかり言わないで」 未来がどうなるかは、まだ分からない。 ゲーム名は 『星が空へと昇る世界で 〜Last Memory〜』 人の想いが光となって空へと還るこの世界で、俺はたくさんの輝きを見つける。 ※他サイト様にも掲載中 ※表紙は流丘ゆら様にいただきました!
好きの理由は首なしだから?

総文字数/2,721

恋愛(学園)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
若者の首から上が世界から隠されるその奇病は若盲と呼ばれる。通称は「首隠し」で、発症した者は「首なし」になったと言われる。 かつて人気者だった御子柴は、発症を機に女子からの告白こそ途絶えたが、幼馴染の桃香だけは変わらず隣にいた。 病に乗じて近づく自分を「卑怯だ」と自嘲する桃香に対し、御子柴は不意打ちのキスで応える。 「わ、私、は、初めてだったのに……っ!」 「あ」 「それに、口、半開きだったし!」 「そこかよ!?」 「やり直し! やり直しをお願いします!」 再び顔が見えるようになるまでの年月を、見えない表情の代わりに言葉とその温もりで埋めていく、少し歪で純粋な恋の物語。 ※他サイトにも掲載中
心の声を聞きたい王子様に応える私は変態ですか?

総文字数/8,869

ファンタジー8ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
――特定の相手に一定時間心を読まれる特別な砂糖菓子を手配いたしました。考えていることが全て筒抜けにはなりますが、ご覚悟のある方のみぜひお越しください。 これは、セルバンティス・バルゾーラ王子の婚約者を決める関門だ。 心を覗きたい王子と覗かれることを知って臨むユリア・マスカレド子爵令嬢。それを見守る執事と夢魔。 迎えるのは紛れもなくハッピーエンド。 しかし……登場人物は全員、変態なのかもしれない。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop