【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「『彼でもダメだった』ってどういう意味ですか? 
二人っきりで会ったということですか?」

「え、いや、その……」

 森下先生が『マズイ、余計なことを言った』という顔をしている。

「うーん……伊原さんに悪いな。彼氏に言いつけてしまったみたいで……」

「言ってください」

「んー………………会った、と思うよ」

「は?」

「脳外のローテーションが終わる頃だったと思う。
やっと連絡先の交換ができて、会うことになったって。
らしくもなく浮かれてるって、大迫先生本人が言ってた。
だから本気の告白でもするのかと思ったんだよ」

「はぁ?」

「や、でも、告白されても断ったんじゃないかな? 
うん、きっとそうだ! 
伊原さんは断ってるよ。
だって汐宮先生の彼女なんだから」

 森下先生は妙に気を遣いながら、根拠のない断定をした。

 脳外のローテーションの最後、ということは先月末か? 
 くそっ! いつの間に。
 あの時追い払えたと思ったのに、また接点があったのかよ。

 だが叶恋と大迫が会ったからといって、俺はそれを咎められる立場にない。
 今はまだ偽装恋人関係なんだから。
 
 ……これは偽装関係を持ちかけてる間に外堀を埋めて、などと悠長なことを考えている場合ではなかった。

 あれだけ可愛いくて性格も良いのだ。
 狙う男がいて当然。
 もっと早く確実な関係にしておくべきだった。
 今となっては後悔しかない。

「あー……汐宮先生?」

「……ありがとうございます。教えてくださって」

「いや、その、本当に告げ口するつもりはなかったんだ」

「わかってます」

「い、伊原さんには……」

「叶恋に問い質すようなことはしません。幼馴染と会うことは、決して悪いことではありませんから。
ただ、これからはもう少し堅固な関係を築こうと思いました」

グズグズしている場合ではない。
叶恋は誰にも渡さない!

「そ、そうだな、それはいい。
いやー、若いっていいね。オフィスラブもいい! 
汐宮先生、応援してるよ」
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