【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
そんな時だった、祖母が急死したのは。祖母は飲酒運転の交通事故に巻き込まれてしまったのだ。

 私を育ててくれた祖母の死は受け入れがたく、葬儀直後の撮影では笑えなくなっていた。

 このまま続けていけるのだろうかと思った矢先、母の妊娠が発覚する。
 お腹に赤ちゃんがいるというのだ。

 この歳になってきょうだいができるのかと思うと少し複雑ではあったけれど、やはり嬉しかった。
 しかも双子!
 母の妊娠は、祖母を亡くしたショックから立ち直るきっかけになった。

 幸いなことに、クッキングアイドルの撮影はほとんど終わっていて、そのまま契約満了の時を迎えた。

 祖母と二人三脚で歩いてきた世界だ。
 祖母が他界したあと、残ることに何の未練もなく、私は事務所を辞めて、芸能界を引退することにした。

 生まれてきた弟たち、司馬(しば)生馬(いくま)は可愛くて、私は双子に夢中になった。

 そうして育児の手伝いをしながら地元の高校、大学に通い、大手医療機器メーカーに就職することができた。

 しかしせっかく入社した会社も、わずか3年で退職することに。
 理由は父の看病のためだった。

 半年前、父が脳梗塞で倒れた。
 幸いなことに手術で一命を取り留めたものの、長いリハビリ入院を余儀なくされた。

 双子はまだ小学生で、母には仕事があった。
 小さな会計事務所の代表である父が病気療養中となれば、副代表の母が会社を守らなければいけない。
 3名のスタッフと、その家族の生活を守るために。

 だから私は仕事を辞めて家事に専念し、入院中の父のリハビリに付きそうことにしたのだ。

 その後、後遺症が残ったものの、父は無事退院し、社会復帰することが出来た。
 それに伴い、私も社会復帰することに。
 再就職先になったのが、この誠仁館医科大学脳外科の医局秘書だったのだ。

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