【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「叶恋! やっと見つけた」
「陽介さん……?」
まさか、横浜まで来て陽介に会うとは思わなかった。
医療機器メーカーのMRだから学会にも関係しているのだろうか。
「これだけ広い会場だとなかなか見つからないな。一人か?」
「いえ……ここで待っているように言われて……挨拶をされているの」
「そうか。俺は前の病院の先生に呼び出されて、夜は接待なんだ。
風の噂で叶恋が学会に来ているって聞いたから探してた。
……なぁ、今少しだけ話せないか?」
「前にも言ったけど、私には何も話すことはないわ。
もう見かけても話しかけないでほしい」
私たちは別れたのだ。過去をふりかえって話すことはないし、友人として世間話をする気もない。
今後会話をするつもりはさらさらないので、話しかけないでほしいということをはっきり伝えた。
「叶恋、違うんだ。理沙とのことはちょっとした気の迷いで……とにかくちょっとこっちへ来い」
「ちょ……何するのよ!」
陽介がインフォメーションから一番近くの出口へ向かい、私の腕を掴んで歩いていく。
たしかにインフォメーション前でするような話でもないが、もうすぐ永真先生が来るのにこのままではすれ違ってしまう。
「叶恋、あいつは本命じゃない。俺が好きなのは叶恋なんだ」
「……何言ってるの?」
「叶恋が会社を辞めて介護をするっていうから、その間ちょっと会っていただけだ。
まさかあいつが副社長の娘だなんて知らなくて、思わぬ展開になってしまったが」
「……私には心配しているメッセージを送りながら、浮気していたのよね?」
「それは……ちょっと魔が差しただけだ。
付き合い始めたところなのに仕事を辞めて、俺をほったらかしにした叶恋にも責任があるだろう?」
「は……?」
浮気をしたのは私のせいなの?
どうして責任転嫁されなきゃいけないの?
「寂しかったんだよ。叶恋が相手をしてくれないからだ。
だいたい、親父さんが倒れたなら、面倒をみるのは娘じゃないだろう?
母親に面倒みさせろよ。
娘の将来も考えずに会社を辞めさせるってどんな親だよ。家に娘を縛り付けて、デートもできないなんてさ、あり得ないだろう?」
「……そんな風に思ってたの?」
あり得ないのはあなたよ。
会社を辞めてからも、優しいメッセージを送ってくれていたのは全部嘘だったのだ。
この人はお父さんの心配も、私への労りの気持ちも、全く持ち合わせていない人だ。
その事実を突きつけられて、怒りで体が震える。
「陽介さん……?」
まさか、横浜まで来て陽介に会うとは思わなかった。
医療機器メーカーのMRだから学会にも関係しているのだろうか。
「これだけ広い会場だとなかなか見つからないな。一人か?」
「いえ……ここで待っているように言われて……挨拶をされているの」
「そうか。俺は前の病院の先生に呼び出されて、夜は接待なんだ。
風の噂で叶恋が学会に来ているって聞いたから探してた。
……なぁ、今少しだけ話せないか?」
「前にも言ったけど、私には何も話すことはないわ。
もう見かけても話しかけないでほしい」
私たちは別れたのだ。過去をふりかえって話すことはないし、友人として世間話をする気もない。
今後会話をするつもりはさらさらないので、話しかけないでほしいということをはっきり伝えた。
「叶恋、違うんだ。理沙とのことはちょっとした気の迷いで……とにかくちょっとこっちへ来い」
「ちょ……何するのよ!」
陽介がインフォメーションから一番近くの出口へ向かい、私の腕を掴んで歩いていく。
たしかにインフォメーション前でするような話でもないが、もうすぐ永真先生が来るのにこのままではすれ違ってしまう。
「叶恋、あいつは本命じゃない。俺が好きなのは叶恋なんだ」
「……何言ってるの?」
「叶恋が会社を辞めて介護をするっていうから、その間ちょっと会っていただけだ。
まさかあいつが副社長の娘だなんて知らなくて、思わぬ展開になってしまったが」
「……私には心配しているメッセージを送りながら、浮気していたのよね?」
「それは……ちょっと魔が差しただけだ。
付き合い始めたところなのに仕事を辞めて、俺をほったらかしにした叶恋にも責任があるだろう?」
「は……?」
浮気をしたのは私のせいなの?
どうして責任転嫁されなきゃいけないの?
「寂しかったんだよ。叶恋が相手をしてくれないからだ。
だいたい、親父さんが倒れたなら、面倒をみるのは娘じゃないだろう?
母親に面倒みさせろよ。
娘の将来も考えずに会社を辞めさせるってどんな親だよ。家に娘を縛り付けて、デートもできないなんてさ、あり得ないだろう?」
「……そんな風に思ってたの?」
あり得ないのはあなたよ。
会社を辞めてからも、優しいメッセージを送ってくれていたのは全部嘘だったのだ。
この人はお父さんの心配も、私への労りの気持ちも、全く持ち合わせていない人だ。
その事実を突きつけられて、怒りで体が震える。