【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「……私もわかってました。
そういう話はよく聞きますから。
こんな風に後遺症が残ると介護が大変で、家族に捨てられる可能性があることを。
社会復帰出来たとはいえ、今の私は着替えすらまともに一人で出来ませんからね。
生活全般、家族におんぶにだっこの状態です。
でも娘は仕事を辞めてまで看病してくれたし、妻には大事な会社を守ってもらいました。
自分は本当に恵まれた環境にいると思います。
日々家族に感謝ですよ」

「お父さん……」

「素敵なご家族ですね。
こんな心優しい娘さんがうちの永真と結婚してくれるなんて夢みたいですよ」

 お母様まで優しい言葉をかけてくださる。
 ふと気づくと、永真さんの手が私の肩にあった。

「叶恋、何も心配する必要はなかっただろう?」

「……うん、うん」

 嬉しいのに涙があふれて、喉の奥が痛くて、ばかみたいに「うん」しか言えなかった。

 永真さんのご家族の優しさに触れて、やっと心から安心できた気がする。
 
 あの呪縛のような理沙の言葉から抜け出せたのだ。



 その後永真さんたっての希望で、なるべく早く同居したいと具体的な話になった。

 永真さんのマンションは実家まで歩いて帰れる距離だし、いつでも実家の手伝いに行けるだろうからと。

 両家ともに面倒な結納はなしということで合意し、吉日を選んだ結果、3週間後の土曜日に入籍し、永真さんのマンションで新婚生活を始めることになった。
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