【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
カミングアウトの時
やっぱり『クッキングアイドルかれん』は叶恋だった。
運動会の時から、ほぼ間違いないと確信していたが、はっきり聞かされると、また違った思いがある。
母親の言う通り、あれは俺の初恋だったのかもしれないから――。
しかし、現状をどうしたらいいのだ。
母さんめ! こんなところで、俺が『クッキングアイドルかれん』を知っていることをバラしやがって!
「そ、その……い、従妹が見てたんだ。
黒川の従妹がいつもうちに来た時に」
俺はとっさに従妹の存在をアピールした。
事実、その番組を知ったきっかけは従妹が見ていたからなんだ。間違ってない。
「ああ、そうそう! みっちゃんが好きだったのよねー。
ピンクの包丁、プレゼントするのに探したの覚えてるわ。
ふふふ……懐かしいわね。
…………ふふふふふ」
ああークソっ!
含み笑いしながら俺を見るな!
俺は、母親を思いっきり睨みつけてやったが、ニヤニヤと笑うだけだった。
俺がこっそりあの番組を見ていたことを知っているのは、母親だけなのだ。
後で散々からかわれそうだな。
しかしここでバレるわけにはいかない。
俺が叶恋より年下か同年代ならまだしも、あの番組を見ていた頃の俺は……高校生だったのだから――。
「そっか……黒川先生の娘さんが……。
見ていくださったなんて嬉しいです。
でももう大昔のことなんで、恥ずかしいですね」
叶恋が照れくさそうに俺を見る。
ドキンッと心臓が跳ねた。
テレビの中にいた女の子が、今目の前にいるのだ。
しかもそれが俺の彼女で婚約者で、抱きしめてキスもできる存在で……!
ヤバい――!!
こんなところで反応したら大変だ!
「恥ずかしい話ですが、私も主人も仕事が忙しくて、叶恋を育ててくれたのは、私の母なんです。
叶恋が芸能事務所に入ったのは、母の希望でした。
撮影の時も、常に現場に付き添ってくれて。
でも叶恋が中学の時に母がなくなったんです。
交通事故でした」
「まあ……それはお気の毒でしたね……。
叶恋ちゃんも辛かったわね」
「はい……。すごく辛くて、カメラの前で笑えなくなったんです。
ちょうどその頃、クッキングアイドルは契約満了で、事務所を移籍して東京へ行く話が出ていたんです。
でも双子が生まれることがわかって、芸能活動はそこで終わりにすることしました」
「だから見かけなかったのか……」
「え?」
しまった! 心の声が漏れた――
運動会の時から、ほぼ間違いないと確信していたが、はっきり聞かされると、また違った思いがある。
母親の言う通り、あれは俺の初恋だったのかもしれないから――。
しかし、現状をどうしたらいいのだ。
母さんめ! こんなところで、俺が『クッキングアイドルかれん』を知っていることをバラしやがって!
「そ、その……い、従妹が見てたんだ。
黒川の従妹がいつもうちに来た時に」
俺はとっさに従妹の存在をアピールした。
事実、その番組を知ったきっかけは従妹が見ていたからなんだ。間違ってない。
「ああ、そうそう! みっちゃんが好きだったのよねー。
ピンクの包丁、プレゼントするのに探したの覚えてるわ。
ふふふ……懐かしいわね。
…………ふふふふふ」
ああークソっ!
含み笑いしながら俺を見るな!
俺は、母親を思いっきり睨みつけてやったが、ニヤニヤと笑うだけだった。
俺がこっそりあの番組を見ていたことを知っているのは、母親だけなのだ。
後で散々からかわれそうだな。
しかしここでバレるわけにはいかない。
俺が叶恋より年下か同年代ならまだしも、あの番組を見ていた頃の俺は……高校生だったのだから――。
「そっか……黒川先生の娘さんが……。
見ていくださったなんて嬉しいです。
でももう大昔のことなんで、恥ずかしいですね」
叶恋が照れくさそうに俺を見る。
ドキンッと心臓が跳ねた。
テレビの中にいた女の子が、今目の前にいるのだ。
しかもそれが俺の彼女で婚約者で、抱きしめてキスもできる存在で……!
ヤバい――!!
こんなところで反応したら大変だ!
「恥ずかしい話ですが、私も主人も仕事が忙しくて、叶恋を育ててくれたのは、私の母なんです。
叶恋が芸能事務所に入ったのは、母の希望でした。
撮影の時も、常に現場に付き添ってくれて。
でも叶恋が中学の時に母がなくなったんです。
交通事故でした」
「まあ……それはお気の毒でしたね……。
叶恋ちゃんも辛かったわね」
「はい……。すごく辛くて、カメラの前で笑えなくなったんです。
ちょうどその頃、クッキングアイドルは契約満了で、事務所を移籍して東京へ行く話が出ていたんです。
でも双子が生まれることがわかって、芸能活動はそこで終わりにすることしました」
「だから見かけなかったのか……」
「え?」
しまった! 心の声が漏れた――