【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「わ、悪い……」
「どうして……? だってメッセージではいつも……」

 この4ヶ月間、陽介とのメッセージのやり取りに支えられてきた。いつも優しいあのメッセージは何だったの?

「陽介さんは優しいんです。先輩の湿っぽいメッセージにも返事をしてあげるなんて。
バカみたいに会社を辞めて、介護なんてしている落ちぶれた人とは、もう二度と会うこともないって言ったのに」
「理沙! 言いすぎだ」
「だって、事実じゃない。
先輩には常に介護が付きまとうんだよ?
最初からお荷物を背負っているってわかってて、結婚なんてありえないし。
陽介さんだって、あんな面倒な女、もう会うこともないだろうって言ってたじゃない!
ねぇ先輩、わかってくれますよね?
先輩だって陽介さんの人生、台無しにしたくないでしょう?
だから別れてください」

 あんな面倒な女……ひどい言いようだ。
 優しいメッセージの裏で、そんなことを言っていたなんて。

 でも陽介の態度を見る限り、私には優しい恋人を演じながら、理沙に本音を話していたということがわかる。「バラされた」という顔をしているから。

 悔しかった。闘病中の父をけなされたと思うと許せなかった。

「……陽介さん、そんな風に思っていたんですね」
「か、叶恋」
「許せない……」
「じゃあ別れてくれますね? よかった!
これで一安心ね。
パパも気にしていたのよ。まだ前の女と切れていないのかって」
「パパ……?」
「あら、先輩知らなかったんですか?
私のパパ、イシハラの副社長なんです」
「え? でも名前が……」
「ふふふっ、皆さんに気を遣わせるのが申し訳なくて、母の旧姓で入社しているんです。
本名は石原理沙。現社長は私の祖父です。
だからね、陽介さんのためにも別れてほしかったんです。だって陽介さんは、私とお付き合いした方が絶対にいいもの。ね、陽介さん?」
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