【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
再会は壁ドンで
「充電ができたら必ず連絡するって言ったよな?」

 そう言って近づいてきた汐宮先生は、私を逃がさないとばかりに壁にドンッと手をついた。
 これって、壁ドンってやつ……!?

 近い……。ふと、あの夢ような一夜を思い出し、顔が火照るのを感じた。

 あの時も少し強面だと思ったが、コンタクトレンズの入っている今、以前よりお顔がはっきり見える。
 太めの眉がキリッと上がっていて、切れ長の目に鼻筋がスっと通っているお顔は、とても男性的で普段なら見惚れるところだろう。
 しかしかなりお怒りの今は、イケメンの圧がめちゃくちゃ怖い。

「い、言いましたね、はい……」
 
 待っていてくれたのだろうか?
 どうしよう。とても失礼なことをしてしまった。
 でも不可抗力だったのだ。

「ごめんなさい! お世話になったお礼をするつもりだったのに、色々とトラブルがあって」
「トラブル……?」
「あ、いえ、その……エイシ……じゃなくて、汐宮先生のことを忘れていたわけじゃなく、あの後いろいろあって連絡することが出来ませんでした。
申し訳ございません!」
「……もういい」

 ハァ……とため息をつきながら壁ドンが解除された。

 え、呆れてる? いや、普通は呆れるよね。
 あの時初めて会った人だとはいえ、一晩一緒に過ごして、お礼の約束をしたのに破っちゃったんだから。

「いろいろって、元カレか?」
「へ?」
「連絡できないほどのいろいろって、元カレからヨリを戻そうって言われたのか?」
「まさか! それはありえません!」

 陽介のことなんて、あれから考えもしなかった。
 むしろドタバタと忙しい日々だったけれど、エイシンさん一夜を過ごしたことの方が色濃く私の記憶に残っていた。
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