【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「だったら……」
「家庭の事情です。
自宅に帰ったら学校から連絡があって」
「学校?」

 あ、そうか。
 あの時は、元カレの話だけして、うちの家の事情を全く話していなかったんだっけ。

 実はあの日、家に帰って仮眠していると、充電中のスマホが鳴ったのだ。
 見知らぬ携帯番号だったが、胸騒ぎがして慌てて出てみると、司馬の担任の先生からだった。
 キャンプ先で司馬が熱を出したという。

 私は急遽、車で迎えに行くことになった。
 高速を飛ばして片道2時間。
 帰りは司馬の体調を気遣いながら運転し、帰ったらずっと看病に専念していた。

 その上、ワンピースのポケットに入れたままになっていたあのメモは、入ったままの状態で、うっかり洗濯してしまったのだ。
 当然のことながらメモは判読不能な状態に。

 そんなわけで、汐宮先生に連絡する手段はなくなってしまった。

 もちろん、マンションの場所は覚えていたが、さすがにそこまでは……。
 それじゃストーカー扱いされてしまうだろうと思い、結局放置することに。

「弟がいるのか……」
「双子なんです。15歳離れているので、姉というよりはわが子のような感覚で」
「それは……大変だったな」

 汐宮先生は一旦納得したが、何か腑に落ちない、という顔をしていた。

「つかぬことを聞くが、ご両親は……?」
「あ」

 そうだ、私ったらまた説明が足りていなかったわ。

「両親は――」

 そこで汐宮先生のスマホが鳴った。
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