【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「夜分にすみません。誠仁館医科大脳外の汐宮と申します。叶恋さんが歓迎会で少し飲みすぎたようで、送ってきました」
「まあまあ……すみません!
ちょっと叶恋、寝てるの?」
「すみません。飲ませすぎたようで眠っています。
あの……よろしければ中まで運びましょうか?」
「よろしいんですか?
もう初日からこの子ったらご迷惑をおかけして」

 俺はおろおろする母親に案内されて、リビングのソファまで叶恋を運んだ。

「かれん、大丈夫?」
「かれん、起きないの?」

 双子がまとわりつく。

「こら、司馬も生馬ももう寝なさい。すみません、自宅まで送っていただいて。誠仁館医大の先生でしょうか?」

 ダイニングテーブルから杖をついて歩てきたのは、おそらくこの家の主である叶恋の父親だろう。
 職業柄、その杖の意味を瞬時に理解する。
 おそらく脳卒中による後遺症、右片麻痺だ。

 階段室で話した「両親は――」の続きがここにあった。なるほど、叶恋が弟を迎えに行かなくてはならなかった理由はこれか。

「脳外の汐宮です。今日は叶恋さんの歓迎会があって、少し飲みすぎたようです。途中で寝てしまったので送ってきました」
「それは申し訳なかった。叶恋はあまり飲めないんですよ」

 実は知っている。ここでは言えないが……。
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