【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「いい歳の男女が一緒に飲んだんだ。
翌朝まで一緒にいてもおかしくはないだろう?」
「ちょっ……何言ってるんですか!
こんなところで……」
意味深な言い方!
事実、あの夜は2回も抱かれたんだけど、なにもお母様の前で言わなくても〜!
私は一気に顔が火照るのを感じた。
「え、永真が……! ……採用、採用だわ!」
「へ?」
「叶恋ちゃん! あなた採用よ!
よくやってくれたわ〜!
だってそれ、こけら落……ブッ」
「だまれ」
なぜか汐宮先生がお母様に向かっておしぼりを投げた。
「もうっ! 何するのよ、お行儀悪い子ね。そんな子に育てた覚えないんだけど」
「うるさい」
「心配してあげてたのに〜」
「??」
突然、親子ケンカ?
アワアワする私をよそに、お母様はしきりに感心し、ニヤニヤ笑っている。その前で息子は母親を睨みつけていた。
よくわからないけれど、親子の仲の良さは伝わってくる。
「……ふふっ、汐宮先生もお母様と仲が良いんですね」
「はぁ? どう見たらこれが仲良く見えるんだ?」
「あら、叶恋ちゃんの言う通り仲は良いわよ。でもこの子が全く家に帰ってこないから、こうやって呼び出さない限り話も出来ないの」
「それは寂しいですね」
「でしょう?」
「寂しいわけないだろう。兄貴のところがいるのだから」
兄貴のところがいる……ということは、同居されてるのかしら。
「もちろん我が家は一真がいるから賑やかよ。あ、一真は長男の息子なの。今、年中さんよ」
「年中さんですか! 可愛いでしょうね。
私には15歳離れた双子の弟がいるんです。
だから弟たちの幼稚園の時のことを思い出します」
「15歳! 随分離れているのね……」
あ、これはよくある反応だ。
15歳離れていると言うと、たいていの人は異母兄弟、もしくは異父兄弟を想像する。
つまり本当の両親は離婚していて、再婚相手との間のきょうだいなのではないかと。
隠すことではないので、私はいつも両親が学生結婚で私を産んだことと、事務所を開業して生活が落ち着いてから双子が生まれたことを話している。
私の説明に、お母様はしきりに感心しているようだった。
「そう……ご両親仲がよろしいのね。双子ちゃん、可愛いでしょうね」
「可愛いですね。弟ができるとわかったときは、正直複雑だったんです。ずっと一人っ子で育ってきましたから、今さら!? という感じで……。
でもいざ生まれてきたら、もう可愛くて可愛くて。母と一緒に子育てしている気分でした」
「お母様はとても助けられたでしょうね、叶恋ちゃんに」
「叶恋はよく面倒をみている。あいつら、可愛いんだ。見分けがつかないほど似ている」
「え? 永真は弟さんに会ったことあるの?」
「叶恋の新歓のあと、家まで送っていったら双子がまだ起きていたんだ」
「あの日はたまたまサッカーの試合があって、遅くまでテレビで観戦していたみたい」
「サッカー……それって今週の月曜日の対アルゼンチン戦の話?」
お母様も観ていたのかな。あの日は日本中がサムライブルーの応援をしていたことだろう。
「そうです。残念ながら私は観られなかったんですが。二人ともサッカーをしているんです。だからいつもは寝ている時間だったんですけど、あの日は起きていて」
「今度、練習見てやるんだ」
「ふふっ、ありがとうございます。二人ともすっかり懐いちゃってますね」
「永真、あなた……」
お母様が何かを言いかけた時、個室のドアがバーンと開いた。
翌朝まで一緒にいてもおかしくはないだろう?」
「ちょっ……何言ってるんですか!
こんなところで……」
意味深な言い方!
事実、あの夜は2回も抱かれたんだけど、なにもお母様の前で言わなくても〜!
私は一気に顔が火照るのを感じた。
「え、永真が……! ……採用、採用だわ!」
「へ?」
「叶恋ちゃん! あなた採用よ!
よくやってくれたわ〜!
だってそれ、こけら落……ブッ」
「だまれ」
なぜか汐宮先生がお母様に向かっておしぼりを投げた。
「もうっ! 何するのよ、お行儀悪い子ね。そんな子に育てた覚えないんだけど」
「うるさい」
「心配してあげてたのに〜」
「??」
突然、親子ケンカ?
アワアワする私をよそに、お母様はしきりに感心し、ニヤニヤ笑っている。その前で息子は母親を睨みつけていた。
よくわからないけれど、親子の仲の良さは伝わってくる。
「……ふふっ、汐宮先生もお母様と仲が良いんですね」
「はぁ? どう見たらこれが仲良く見えるんだ?」
「あら、叶恋ちゃんの言う通り仲は良いわよ。でもこの子が全く家に帰ってこないから、こうやって呼び出さない限り話も出来ないの」
「それは寂しいですね」
「でしょう?」
「寂しいわけないだろう。兄貴のところがいるのだから」
兄貴のところがいる……ということは、同居されてるのかしら。
「もちろん我が家は一真がいるから賑やかよ。あ、一真は長男の息子なの。今、年中さんよ」
「年中さんですか! 可愛いでしょうね。
私には15歳離れた双子の弟がいるんです。
だから弟たちの幼稚園の時のことを思い出します」
「15歳! 随分離れているのね……」
あ、これはよくある反応だ。
15歳離れていると言うと、たいていの人は異母兄弟、もしくは異父兄弟を想像する。
つまり本当の両親は離婚していて、再婚相手との間のきょうだいなのではないかと。
隠すことではないので、私はいつも両親が学生結婚で私を産んだことと、事務所を開業して生活が落ち着いてから双子が生まれたことを話している。
私の説明に、お母様はしきりに感心しているようだった。
「そう……ご両親仲がよろしいのね。双子ちゃん、可愛いでしょうね」
「可愛いですね。弟ができるとわかったときは、正直複雑だったんです。ずっと一人っ子で育ってきましたから、今さら!? という感じで……。
でもいざ生まれてきたら、もう可愛くて可愛くて。母と一緒に子育てしている気分でした」
「お母様はとても助けられたでしょうね、叶恋ちゃんに」
「叶恋はよく面倒をみている。あいつら、可愛いんだ。見分けがつかないほど似ている」
「え? 永真は弟さんに会ったことあるの?」
「叶恋の新歓のあと、家まで送っていったら双子がまだ起きていたんだ」
「あの日はたまたまサッカーの試合があって、遅くまでテレビで観戦していたみたい」
「サッカー……それって今週の月曜日の対アルゼンチン戦の話?」
お母様も観ていたのかな。あの日は日本中がサムライブルーの応援をしていたことだろう。
「そうです。残念ながら私は観られなかったんですが。二人ともサッカーをしているんです。だからいつもは寝ている時間だったんですけど、あの日は起きていて」
「今度、練習見てやるんだ」
「ふふっ、ありがとうございます。二人ともすっかり懐いちゃってますね」
「永真、あなた……」
お母様が何かを言いかけた時、個室のドアがバーンと開いた。