本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
亜里沙には何か抱えているものがあって、でも俺には言えない事があるのだという事はなんとなくわかった。

これ以上は踏み込んでいけないか…

亜里沙の手を見ればまだ拳を強く握っているのがわかった。

俺はその拳の上から包むように手を乗せた。

「驚いて当然だ。一人で家にいる時じゃなくて良かった」

「獅音…ありがとう」

亜里沙はもう片方の手を俺の手の上に乗せた。

ようやくマンションについたのはもう明け方だった。
いつの間に時間が経ってしまっていたようだ。

下を向いたままの亜里沙の手を引いて、部屋に入れる。

寝室へ連れて行き、適当な部屋着を渡して一旦部屋を出た。

それにしてもえらい事になったな。

しばらくしても亜里沙は部屋から出てこない。



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