本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
ん?
遅くね?

ノックをするも返事がない。

寝ちゃったか…

俺はドアをそっと開けて寝室へ入り、ベッドの端に座って寝顔を見下ろして、頭を撫でる。

可愛い。

こら。
今はそんな事言ってる場合じゃない。

こいつは家が燃えてショックを受けてんだ。

本当に良く考えたらなかなか状況だよな。

にしても好きな女が、俺のベッドで寝てるとか…

今日はソファで寝よ。

そう思い立ち上がろうとした時、寝ていたと思っていた亜里沙の手が伸びてきて俺の服の裾を掴んだ。

「獅音…」

そして名前を呼ばれ振り返ると、その瞳は大きく揺れていてとても儚く、辛さと哀しさで溢れていた。

「また頑張れって言って…」

亜里沙…

亜里沙の目から一筋の涙がこぼれ落ちる。

「お願い…抱いて…慰めて…」

目を閉じて、顔を真っ赤にしながら俺に乞う。

俺はそんな亜里沙の姿を見て堪え切れずすぐさま抱きしめ、キスをした。
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