本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
獅音はそんな私のへんちょこりんの姿を見ながら、表情ひとつ変えずに話し出す。

いや、そこ笑ってくれや!

チラッと後ろのメンバーを見れば、みんな口を押さえたりそっぽを向いたりして肩を揺らし笑いを堪えている。

私は獅音の手からウィッグを取り上げて被り直すも、焦りからかポジションが見つけられない。

「あれ? こっち? こっちか? ん? こうか?」

ウィッグをぐるんぐるん回しながら獅音を見る。

「あと帰るだけでしょ? ネット外して普通に髪結えば?」

「あ、確かに」

私はすぽんとまたウィッグを外して獅音に無言で渡す。

ネットも外して、髪を一度ほぐしてからまた一つに結び直した。

これでよし、と。
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