本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「どうかしたの?」

「いや…あの時カメラマンに言われた」

「なんて?」

「女を誘惑しろって」

「え?」

「だから…亜里沙を思い浮かべて…」

私はカァッと赤面してしまう。
というか獅音まで心なしか顔が赤い。

「恥ずっ」

獅音は手を目元から外すと私を見て笑った。
この照れ臭そうに笑う顔はきっと私しか知らないだろうな。

「その誘惑に乗りたいんだけど」

すると一瞬止まる獅音。

そしてすぐに立ち上がった。

ははは。

「帰るぞ」

そう言って手を差し出す獅音に私も手を差し出す。
ぎゅっと握られ立ち上げられる。

そのまま手を繋いで個室から出ると他のお客さんにも見られるが、私たちは気にしないで家路を急いだのだった。
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