姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です



***




叶奈が病室に入ったら、麻子は眠っていた。
医師の説明によると睡眠不足からくる過労と脱水症らしく、安静が一番だからと入院になったそうだ。

麻子が点滴を受けている姿を見ているのは心細かった。
譲が自分も病院に残ると言ってくれたので、叶奈はホッとした。
これからのことや播磨屋のことを考えると、まだまだ譲と話したいことが山のようにある。

ふたりはベッドの横に丸椅子を並べて座った。
どちらから話を切り出そうかとお互いの顔を見つめていたら、軽いノックの音がした。

「はい」

「入るよ」

顔をのぞかせたのは、崇だった。

「どうしてここに?」

「香川君が連絡をくれたんだ。播磨屋に電話したら麻子が入院したって聞いたから飛んで来た」

崇の顔色は悪い。本気で麻子のことを心配しているようだ。
それほど思っているのに、どうして別れたのだろう。
そんなことを思っていたら、崇は譲にピタリと視線を合わせている。

「えっと、君は?」
「湯浅譲と申します」

そう名乗って立ち上がると、名刺を渡している。
しげしげと眺めている崇は、すぐに譲が湯浅家の御曹司だと気がついたようだ。




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