姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


「叶奈との関係は?」

無遠慮に聞く崇に、叶奈は焦った。

「やめてください。母が眠っているところで」

ここに来る途中で初めて「好き」という言葉を聞いたばかりだし、叶奈はまだ自分の気持ちを譲に伝えていない。
そんな状況で、今さら父親然としている崇の態度が信じられない。

叶奈が慌てて立ち上がった拍子に、ハンドバッグの中身が散らばってしまった。

「あ」

ポーチやお財布が散らばって、スマートフォンが飛び出した。
譲が拾い上げようとしたところで、着信があった。

画面に表示された名前を見て、譲が眉をしかめている。

【香川恭介】

譲はスマートフォンを拾うと、黙って叶奈に渡してくれた。

婚約者のフリは、恭介の祖父の体調が理由だとまではさすがに話せなかった。
それに恭介は、叶奈が譲の車に乗った理由を知りたがっているのかもしれない。
ここには崇もいる。ますます拗れそうで、叶奈は言葉に詰まった。






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