姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


「それで、君たちはどういう関係?」

どうしても崇は確認したいようで、叶奈は返事に困った。

「卒業式の翌日、ふたりで出かける約束をしていたんです。そのとき叶奈さんに交際を申し込むつもりでした。でも突然いなくなってしまったので、焦りました」

譲はきっぱりと答えてくれた。
ふたりで出かける約束をしたことは内緒にしていたから、麻子からの視線が痛い。

「ですから叶奈さんには、もう香川恭介と関わってほしくないんです」

「そうか……そうだよね。フリだとしても、ほかの男の婚約者だなんて腹立つよね」

崇は急いでアメリカに行って、奈緒の体調が落ち着いていたらすぐに連れて帰ってくると言う。
詳しい話し合いはそれからだ。

叶奈は崇に伝言を頼むことにした。

「奈緒に伝えてください。お腹の中の赤ちゃんのお父さん、きっと待っているからって」
「叶奈」

「私が、妹の叶奈が、お姉さんに会えるのを楽しみにしているって」
「わかった。きっと伝えるよ」

そう答えながらも、崇は麻子のベッドのそばから動きたくないようだ。

「どうかした?」

麻子が尋ねても、しばらく黙り込んでいる。
もう一度麻子が口を開こうとしたら、崇は苦しそうにつぶやいた。

「どうしてこうなったんだろう」

今になって離婚したことを後悔しているような言葉だ。





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