姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
長身の若いふたりがダイニングルームに入ってくると一気に部屋が狭く感じられる。
「香川さん、突然どうなさったの。今日いらっしゃるってご連絡はなかったけれど」
琴子はなんとか表情を取り繕っている。
「奈緒!」
恭介は琴子どころではないようで、奈緒のそばに走り寄ってきた。
奈緒は椅子に座ったまま、ポカンと恭介を見上げた。
「この子が……ぼくの」
奈緒のそばにひざまずいた恭介は、感動したようにお腹を見つめている。
「どうして、あなたが」
奈緒はまだ信じられないのか、恭介の顔を見つめて茫然としたままだ。
「あの夜以来だね」
奈緒に話しかける恭介の声は、甘い響きを帯びている。
「僕が君の見合い相手、香川恭介だなんだ」
「えっ?」
奈緒はなんのことか、わかっていない顔をしている。
「君の、見合い相手だったんだ。黙っていてごめん」
「あなたは私が松尾奈緒だとわかっていたの?」
「ああ」
「本当に?」
奈緒はまだ信じられないようだ。