姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
「また会いたいって、メモしておいただろ?」
「気がつかなかった……もう会いたくないって思われたんだとばかり……」
「まさか。奈緒が好きだから、あの夜は我慢できなかったのに」
クシャリと恭介が笑うと、奈緒はみるみる涙ぐんだ。
ふたりだけに通じている会話が続くので、ダイニングルームには何とも言えない空気が流れている。
ハッと気がついたのか、恭介がしらっと琴子にあいさつをした。
「申し訳ありません。奈緒さんが帰国されたと聞いたので、伺いました」
琴子の顔に焦りの色が見えた。
「あの、こちらにも色々と事情があって、あなたには叶奈とお見合いしていただいたのよ」
「わかっています。その件でしたら大丈夫です。叶奈さんにはすべて了承を得ていますから」
「え?」
琴子は叶奈がすべて承知していたと知って、混乱している様子だ。
「さあ、これからのことをゆっくり話そう」
恭介が奈緒の方に手を差し出したが、奈緒は座ったまま動かない。