姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です



***



「うわ~、波だ~」

「濡れるぞ」

「大丈夫で~す」

夏の終わり。とてもいいお天気だ。
平日だが譲が休みを取ったので、約束していた海にふたりだけでやってきた。

湘南の海岸線をドライブして、おいしいランチを食べて砂浜を歩いている。
さすがに海水浴客はほとんどいなくて、サーフィンを楽しんでいる人がちらほら見えるくらいだ。
叶奈にとっては譲との初めての、しかも完璧なデートだ。

波打ち際まで駆け出した叶奈は、追いかけっこのようにはしゃいでいる。
こんなに晴々とした気持ちになるのは久しぶりだ。

少し離れたところから叶奈を見ている譲の表情も明るい。
松尾の家で、琴子に叶奈との交際を申し込んでくれた譲。それも「結婚を前提とした交際」だ。
崇や麻子も聞いていたのだから、ふたりの関係は家族公認と言ってもいいだろう。

遠藤の家までの帰り道、叶奈も「よろしくお願いします」と答えた。
帰宅してから遠藤の祖父母にも話したが、大喜びで受け入れてくれた。

結局お金の問題は、湯浅ホールディングスと松尾電子が播磨屋に出資するという、とんでもない案で落ち着いた。
肩の荷が下りて少し楽になったのか、麻子は自分が店を継ぐと言って張り切っている。
ただし、腕のいい料理人がいないと成立しないのだが。

そんな麻子を、崇はただ見守っていくことにしたようだ。



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