姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
それから間もなくして、ローカルニュースではトップの扱いで大きな物流センターの建設が発表された。
完成までに二年かかるが、湯浅ホールディングスが造成から建設まで一手に請け負うという。
そして完成後も、倉庫業から運送業まで系列会社が関わるらしい。
将来的には市内に海外から電子機器の工場の誘致まで考えている一大プロジェクトだ。
立地条件や交通の便からこの街が選ばれたと、ニュースキャスターが原稿を読んでいる。
その音声を聞き流しながら、叶奈はあらためて譲との住む世界の差にため息をついた。
叶奈は大学の友人たちが、湯浅ホールディングス関連企業の採用試験を受けていたのを知っている。
狭き門だったらしく、合格したのは数人だ。
(譲さんに恋しても、最初から立場が違い過ぎる)
ニュースの通りなら、すぐにも工事は始まるだろう。
叶奈はぼんやりと年末年始を過ごした。
店は休まず営業していて忙しいから体は動かしているが、心の中はがらんどうのようだった。
おまけに譲も忙しいのか、しばらく姿を見ていない。
授業はほとんどないし卒論も提出済みだから、叶奈は店の手伝いにほとんどの時間を使っていた。
譲と会えない時間が長すぎて、叶奈はだんだん不安になってきた。
(卒業まで一度も会えないなんて、悲しい)
誰にも打ち明けられない恋に、叶奈はひとり沈んでいた。