姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
案内されたのは、広々としたダイニングルームだった。
十人以上が食事できそうな大きなテーブル。どっしりとした椅子には凝った彫刻がほどこされている。
カトラリーやグラスが並んだ場所に麻子と並んで座ると、エプロン姿の女性がスープを運んできた。
「温かいうちにどうぞ」
「いただきます」
叶奈の言葉に、女性はにっこり笑顔を返してくれた。
スプーンですくって口に運ぶと、まったりとしたポタージュスープだった。
「おいしいです」
「お口にあってよかったです」
白い大きめの皿には、サンドイッチやサラダとフルーツが彩りよく盛り付けられている。
気軽に食べられるように、どれも小ぶりにカットされているのがありがたかった。
麻子はずっと無言だったし、目の前に座っている老女はじっと叶奈を見ている。
なんだか居心地が悪いが、もう午後二時を過ぎていたから空腹には勝てない。
叶奈は遠慮なく食べることに集中した。
「ごちそうさまでした」
叶奈の言葉が合図になったように、老女が立ち上がった。
「コーヒーを応接室に運んでちょうだい」
また麻子とふたりで、後ろについて廊下を歩く。
空腹がおさまって余裕がうまれた叶奈は、屋敷の中を見渡した。
カーテンや壁紙もクラシックだし、廊下に飾られた小さな油絵も上品だ。
重厚なドアから入った応接室は、窓越しに庭を楽しめるような設計になっている。
座るように促された応接室のセットは布張りのシックな花柄で、壁にはマントルピースまである。
その上には豪華な蘭の花と、写真がいくつか飾られているのが目にとまった。