姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


必死で話を止めようとしている麻子を、崇が心配そうに見ている。
播磨屋への資金援助の話は、崇が内密に進めていた。それが琴子の耳に入って、こんな騒ぎになってしまったのだ。

「あなたには、奈緒のスペアになってくれるだけでいいの」
「スペア……つまり予備」

叶奈はきちんと確認しようと、琴子にまっすぐ顔を向けた。

「そうよ」

琴子は当たり前のように言うが、叶奈にとってスペアという言葉はこたえた。
同じ両親から生まれているのに、琴子にすればかわいいのは奈緒だけなのだろう。
松尾家にとって、自分は予備程度の価値しかないと思い知らされた。

ざっと計算しても、土地を買った金額はかなりのものだ。
それを崇が援助してくれたのなら、琴子に反抗するより堂々とスペアになった方がいい。

「……わかりました」

奈緒はお見合いが嫌で逃げたのかもしれないが、叶奈は正面から受け止めようと決めた。
たとえ予備の部品くらいにしか思われていなくても、琴子に背を向けたりはしないとグッと拳を握る。

「お見合いするだけ。つまり、むこうから断られてもいいんですね」

血筋だけは同じでも、奈緒と叶奈ではおそらくタイプが違うはずだ。
断られてもいいなら「なんとかなる」と開き直って、叶奈は引き受けることにした。

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