姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


今となっては細かい事情なんて知りようもない。だが麻子はかなり追い詰められていたはずだと崇は言う。
離婚調停で姉妹の親権が問題になったが、長女でおとなしかった奈緒は琴子ががんとして手放さなかった。
泣いてばかりで手がかかる叶奈だけを連れて麻子は実家に戻ったと、崇は正直に口にした。

「私は面倒な子だったから、母と一緒に追い出されたんですね」
「……」

事実だからか、崇はうなだれている。そして麻子は、自分から出て行ったので慰謝料も養育費もいらないと言い切ったそうだ。
苦労するとわかっていながら、麻子なりに意地を通したのだろうと叶奈は思う。

「今回の播磨屋への援助は、あの時なにも出来なかったおわびだったんだ。なのに、こんなことになってすまない」

「もういいんです。気にしないでください」

父に謝られても、今さら状況は変えられない。

「私は遠藤の祖父母に愛されて育ちました。今回のことは恩返しなんです」

少し嫌味かなと思ったが、それが叶奈の正直な気持ちだ。




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