姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
「大学は経済学部だって聞いたよ。がんばったんだね」
奈緒は小学校からエスカレーター式の女子高に通い、都内の女子大へ推薦で入ったらしい。
崇が言っているのは、叶奈が大学で成績優秀者だけの奨学金を受けていたことだろう。
「うちの会社に就職してくれないかなあ」とまで言うが、どこまで本気なのかよくわからない人だ。
「奈緒は帰ってこないんですか? やっぱりお見合いが嫌なんでしょうか」
「うん。困ったものだよね」
出張帰りにロサンゼルスまで迎えに行った祖父からは、なんの連絡もないそうだ。
そもそも奈緒が嫌がっているなら、お見合いなんてやめてしまえばよかったのにとさえ思う。
「こんな状況でお見合いする意味があるんでしょうか」
どうしてもお見合いしなくてはいけない理由はなにか、崇に聞いてみた。
「見合いをなくすのは、難しいな」
琴子は幼ななじみと、自分たちの子どもか孫を結婚させる約束をしているという。
お互いに親戚になろうと何年も前から誓いあっていたらしい。
いったい何年越しの約束なのか、効力があるのかさえあやふやな気がする。