姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
「それほど大切な約束なんでしょうか」
「君や奈緒からみれば、意味がないことに思えるだろう。これはあの人だけが満足するためのものだから」
「私、困っているんです」
お見合いして断られたらすぐに遠藤の家に戻るつもりだったのに、日取りすら決まらないままズルズルと日にちだけが過ぎていく。
「そうだねえ」
本気で困っているのに、崇はのらりくらりと話をはぐらかす。
叶奈の心の中には譲という存在があるから、お見合いだけとはいえ苦痛でならないというのに。
「もうちょっとだけ、我慢してもらえないかな」
見合い相手は大きな病院の後継ぎらしいが、琴子の約束だけで成り立っているから政略的にも意味はない。
見合いという約束さえ果たせば、縁談が成り立たなくても構わないよと崇は簡単に言う。
「それで琴子様が納得されますか」
「どうだろう。その時になってみないとわからないけど」
崇らしい無責任さだが、見合いそのものを断るという選択肢はなさそうだ。
やはり、あちらから断られるしかないようだ。
琴子には申し訳ないと思うが、いっそのこと嫌われるように振舞ってしまえばいい。
「おや、悪い顔をしているね」
崇は叶奈の考えがわかったような口ぶりだ。
「いえ、別に」
笑って誤魔化しながらも、叶奈はこの状況を終わらせる方法に希望を抱いていた。