姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


日程が決まったので、ようやく見合い相手の詳しい情報を琴子が話してくれた。
相手は香川(かがわ)総合病院の長男で、形成外科医の香川恭介(きょうすけ)だという。
ロサンゼルスの病院で新しい機器を使う手術の研修を受けていたから、帰国の日程がなかなか決まらなかったそうだ。

琴子は奈緒にも見合いは将来有望な医者としか伝えていなかったようで、それも帰国しない原因ではないかと叶奈は思った。

「きれいな日本庭園があるホテルで会うことになったから、当日は着物にしましょうね」

琴子はうれしそうだが、叶奈は気が重くなった。
季節的にも洋服の方が楽でいいのに、琴子は許してくれないだろう。
応接室に飾ってある奈緒の振り袖姿は様になっていたが、叶奈は着慣れていない。
庭園があるホテルなら連れ立って歩くことは想定しておいたほうがよさそうだ。

奈緒ならどんなふうに和服を着こなして、お見合い相手に対してどんな話しをするだろう。

(とりあえず、会ってみてから考えよう)

あれこれ心配してみても、叶奈にはどうしようもないことばかりなのだ。




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