姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
ソファーから立ち上がった恭介は、スラリとした体躯だ。顔立ちは整っていて、二重の目元は優し気だ。
「香川恭介です。お会いできて光栄です」
「初めまして」
とうとう見合いの席に臨んでしまった。
ズンと気持ちが落ち込んだ叶奈は、心なしか伏し目がちになる。
「香川さん、今日はおひとり?」
琴子は「どうして」といった不服そうな声色で尋ねている。
大切な約束の日に、幼なじみが姿を見せないから不信感を抱いたようだ。
「すみません。本日祖父は体調を崩していまして、失礼させていただきました」
「そんなにお悪いの?」
うつむいていたから気づかれなかったと思うが、叶奈は恭介が「祖父」というのに驚いて声が出そうになった。
琴子がこだわっていた幼なじみは女性だと思い込んでいたが、どうやら男性だったらしい。
「それで申し訳ないのですが、すぐに失礼しなくてはいけなくて。今日は顔合わせだけということにさせてください」
「仕方ありませんね」
琴子はあきらかにがっかりしている。
「祖父が、琴子さんによろしくと申しておりました」
残念そうに肩を落とした琴子に如才なく話しかけながら、恭介はソファーに座るように促してくる。