姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です


パーティー当日。
美容室で鏡に映る姿を見て、叶奈はとても自分とは思えなかった。

慣れないメイクや髪型に、笑顔までぎこちない。
思ったよりドレスが似合っている気もしたが、いつもの叶奈とはまったく違っていて自信なさげな表情だ。

(仕方ない。奈緒とは違うもの)

叶奈は田頭の運転する車で、桜木町まで送ってもらった。

「お世話になります」
「とんでもございません」

「あの、田頭さん」
「はい」

「祖母に内緒でお願いしたいのですが、母たちの様子がわかりませんでしょうか」

松尾家に来てから定期的にメッセージのやり取りはしていたが、顔を見に帰るわけにいかない。
叶奈は遠藤家の家族のことが気になっていた。
元気にしているか聞いても「こっちは大丈夫」としか返信がないのだ。

しばらく沈黙していた田頭が、ゆっくりうなずいた。

「わかりました。近いうちに様子を見てまいります」

「ありがとうございます!」

強い味方を得たようで、叶奈はホッとした。



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