姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
叶奈のことを尋ねられなくて悶々としていたら、メッセージが届いた。
【ごめんなさい】
そのひと言だけではよくわからない。
【なにがあったんだ。今、どこにいる】と返信してみたが、もう叶奈から連絡が届くことはなかった。
その日以降も、どこにいるのか聞いても誰も教えてくれないし、いつ帰るのかもわからないという答えばかり。
そうなると逆に気になって仕方がない。譲は、仕事以外の時間で考えているのは叶奈のことばかりになってしまった。
どこで何をしているのだろう。播磨屋の借金返済のために働いているのだろうかと心配にもなる。
忙しさも重なって、あっという間に時間が流れていった。
現地事務所で働き始めた麻子は、思った通り仕事はできる優秀な人材だった。
だが日に日に疲れた表情になっていくのも気にかかる。おそらく播磨屋での仕事もあるのだろう。
叶奈には働いていることを知られたくないらしいが、伝えた方がいいのではないかと迷いもする。
(叶奈に会いたい。会って話したい)
譲は叶奈の笑顔が見たいと、心の底から思っていた。
海を見に行って交際を申し込むつもりだったが、それすら実現できるかどうかもわからない状況だ。
会えないとわかっているからこそ、余計に顔が見たくなる。
店に行けば毎日のように会えるからと油断していた。あと少しの距離を詰め切れなかった自分の失態だ。
このまま彼女の笑顔が見られなくなるかもしれないと思うと、ますます焦りを感じてきた。
(せめて顔が見たい)
譲の想いに反して、むなしく時間だけが過ぎていった。