姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です

戸惑いながらも店主としては大助かりだったようで、手早くコーヒーとカフェラテを淹れてくれた。
それをまた叶奈が運ぶ。
小一時間くらい主婦たちはしゃべっていたが、満足した表情で帰って行った。

叶奈は足をケガしている店主を置いて店を出る気になれず、後片付けまで手伝った。

「助かったよ。ありがとう」
「いえ、でしゃばってごめんなさい」

店主がお礼だと言ってラテのお代わりをサービスしてくれた。

客がいなくなったので、店主は叶奈に色々と話してくれた。
数年前に勤めていた企業を早期退職して、夫婦でカフェを始めたそうだ。
たいして広くもないし自宅を改装した店だから、ふたりでのんびり経営しているという。

妻の父親が入院したので実家に行かせたとたん、転んで足首にひびが入ってしまった。
おまけに今日になってアルバイトから突然辞めると連絡があり、困っていたらしい。

「それは大変でしたね」

誰かに聞いてほしかったのか、店主は初対面の叶奈にも遠慮なく愚痴ってくる。

「奥さんがいつ帰ってくるかわからないから、当分は休業しようかなあ」

そう言って、店主は肩を落とした。

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