姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
叶奈はその表情を見て、気の毒になってきた。
コーヒーの味はいいし、ラテアートも上手だ。常連客から愛されているカフェなのだろう。
祖父母がお客さんを大切にしているのを見てきた叶奈には、店主の気持ちがなんとなくわかる気がする。
「おせっかいかもしれませんが、私でよかったらアルバイトしましょうか」
困っている店主の力になりたいが、条件として「いつまで続けられるかはわかりませんが」と付け加える。
香川恭介から断られるまでの短い期間になるはず。いや、そうなってくれないと困るのだ。
叶奈の申し出を聞いて、店主はパッと明るい顔になった。
「助かるよ、君はとっても接客に慣れているみたいだし」
「飲食店で少しアルバイトしたことがあるので」
播磨屋の手伝いだって、バイトのようなものだ。
「ぜひお願いしたいな。僕は前田です。君の名前は?」
「遠藤加奈です。たまたま近くの親戚の家に来ていて」
姉のマンションだから、うそはついていない。
「じゃあ、こっちにいる間だけでもお願いするよ」
「はい」