【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
わたくしの心が締め付けられるように痛み、ぎゅっと胸元に手を置いて服を掴んだ。
「せめて……あの子には、殿下に嫁いで幸せになってもらいたいと、そう思っている」
「……いいえ、いいえ、公爵さま。あのままでは、カミラさまは幸せとは程遠いところにいってしまいます。お願いします、マティス殿下とカミラさまの婚約を白紙にしてください……! そして、カミラさまを自由にしてください……!」
自由になりたいと、わたくしの心が叫んでいる。
この歳まで育ててくれた恩はあるけれど、わたくしはもう、自由になりたい。
お父さまたちに……ベネット公爵家に縛られることなく、自由に生きたい……!
切実な願いを聞いて、お父さまたちは息を呑んだ。
「カミラさまは、マティス殿下を愛していないことをご存知でしょう……!?」
「……カミラとマティス殿下の婚約は、陛下が希望したことだ」
「……陛下は、マーセル嬢とカミラ嬢の生家が入れ替わっていることを、ご存知なのですか?」
探るようにレグルスさまが尋ねる。
お父さまは少しだけ目を見開き、「さぁ、な」とつぶやいた。
……おそらく、陛下は知っていて、わたくしをマティス殿下の婚約者にしたのだろう。
ゆっくりと深呼吸を繰り返して、昂った気持ちを落ち着かせる。
「……マティス殿下は、カミラさまを想っていないでしょう……?」
「想い合うふたりが結びつくということは、貴族の世界では難しいのだよ、マーセル」
幼い子を言い聞かせるように、お父さまはそう言った。
……そうね、お兄さまの婚約者も貴族……侯爵家の令嬢だ。
だけど、それでも……!
「せめて……あの子には、殿下に嫁いで幸せになってもらいたいと、そう思っている」
「……いいえ、いいえ、公爵さま。あのままでは、カミラさまは幸せとは程遠いところにいってしまいます。お願いします、マティス殿下とカミラさまの婚約を白紙にしてください……! そして、カミラさまを自由にしてください……!」
自由になりたいと、わたくしの心が叫んでいる。
この歳まで育ててくれた恩はあるけれど、わたくしはもう、自由になりたい。
お父さまたちに……ベネット公爵家に縛られることなく、自由に生きたい……!
切実な願いを聞いて、お父さまたちは息を呑んだ。
「カミラさまは、マティス殿下を愛していないことをご存知でしょう……!?」
「……カミラとマティス殿下の婚約は、陛下が希望したことだ」
「……陛下は、マーセル嬢とカミラ嬢の生家が入れ替わっていることを、ご存知なのですか?」
探るようにレグルスさまが尋ねる。
お父さまは少しだけ目を見開き、「さぁ、な」とつぶやいた。
……おそらく、陛下は知っていて、わたくしをマティス殿下の婚約者にしたのだろう。
ゆっくりと深呼吸を繰り返して、昂った気持ちを落ち着かせる。
「……マティス殿下は、カミラさまを想っていないでしょう……?」
「想い合うふたりが結びつくということは、貴族の世界では難しいのだよ、マーセル」
幼い子を言い聞かせるように、お父さまはそう言った。
……そうね、お兄さまの婚約者も貴族……侯爵家の令嬢だ。
だけど、それでも……!