【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「どうしました?」
「……クロエ、貴女の歩む道は、本当に侍女で良いの?」
わたくしの――カミラの侍女になってくれると、クロエは言った。それは医者の道を閉じることに繋がるのではないかと……そう思って、彼女に問いかける。
クロエは一瞬きょとんとした表情を浮かべて、それから「なにを言い出すかと思えば……」とおかしそうに肩を震わせた。……笑い事ではないのでは……?
「この国に残ったとしても、私の医者としての道は閉ざされるでしょう。私のことを良く思っていない人が多いですからね。それなら、カミラさまと新しい道を歩いてみたい。リンブルグという、未知の土地を!」
心底楽しそうに言い切ったクロエの勢いに、飲み込まれそうになった。
カップを置いて、彼女の手をぎゅっと握る。
そして、心からの「ありがとう」を言葉にした。
「あ、そろそろ溜まったかしら。クロエ、バスタオルとバスローブの準備をお願いしても良いかしら?」
「もちろんですよ」
クロエは「きっとここら辺……」と小声でつぶやきながら、バスタオルとバスローブを探し当て、しっかりとその手に持つ。
わたくしは浴室に向かい、お湯が溜まったのを確認してから、お湯を止める。ふと、視界に入浴剤が入った。
せっかくだから使ってみましょう、と入れてみる。
あ、お湯が白くなった。
保湿効果がありそうな入浴剤ね。甘いミルクの香りが鼻腔をくすぐる。
ゆっくり浸かると疲れが取れそう……
……デートは楽しかったけれど、お父さまたちとの会話は疲れたわ。
ベネット公爵家の人たちにとって、わたくしって本当に存在価値なさそうよね……
まぁ、そんなことは考えるのをやめましょう。
「……クロエ、貴女の歩む道は、本当に侍女で良いの?」
わたくしの――カミラの侍女になってくれると、クロエは言った。それは医者の道を閉じることに繋がるのではないかと……そう思って、彼女に問いかける。
クロエは一瞬きょとんとした表情を浮かべて、それから「なにを言い出すかと思えば……」とおかしそうに肩を震わせた。……笑い事ではないのでは……?
「この国に残ったとしても、私の医者としての道は閉ざされるでしょう。私のことを良く思っていない人が多いですからね。それなら、カミラさまと新しい道を歩いてみたい。リンブルグという、未知の土地を!」
心底楽しそうに言い切ったクロエの勢いに、飲み込まれそうになった。
カップを置いて、彼女の手をぎゅっと握る。
そして、心からの「ありがとう」を言葉にした。
「あ、そろそろ溜まったかしら。クロエ、バスタオルとバスローブの準備をお願いしても良いかしら?」
「もちろんですよ」
クロエは「きっとここら辺……」と小声でつぶやきながら、バスタオルとバスローブを探し当て、しっかりとその手に持つ。
わたくしは浴室に向かい、お湯が溜まったのを確認してから、お湯を止める。ふと、視界に入浴剤が入った。
せっかくだから使ってみましょう、と入れてみる。
あ、お湯が白くなった。
保湿効果がありそうな入浴剤ね。甘いミルクの香りが鼻腔をくすぐる。
ゆっくり浸かると疲れが取れそう……
……デートは楽しかったけれど、お父さまたちとの会話は疲れたわ。
ベネット公爵家の人たちにとって、わたくしって本当に存在価値なさそうよね……
まぁ、そんなことは考えるのをやめましょう。